発達障害で障害年金はもらえる?

発達障害の皆様、障害年金という制度をご存知ですか?

発達障害の皆様、障害年金という制度をご存じですか?

「障害年金」は、原則20歳~64歳の方が対象で、病気や事故のため障害を負った方に対して、国が支給する年金制度です。65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある方に対して支給されます。

こちらの記事では受給のポイント・過去の受給例をご紹介します。

発達障害は、障害年金の対象疾患です。

発達障害(自閉症(自閉症スペクトラム症)・アスペルガー症候群・注意欠陥多動背障害(ADHD)等)は先天性の脳機能の障害ですが、障害年金はケガや病気だけではなく、生まれ持っての病気などによる障害がある方にも支給されます。つまり、発達障害による生活や仕事上の困りごとが支給の要件を満たすと判定されれば、発達障害でも障害年金や障害手当金を受け取ることができます。

ここでは、発達障害について、どんなときに障害年金が受給できるのか、請求(申請)する際はどのようなことに注意すればよいのか等を解説します。

発達障害で障害年金を受給するポイント

  • 初診日の要件
    初診日に国民年金または厚生年金保険に加入していることが必要です。
  • 保険料納付要件
    原則、初診日の属する月の前々月までの過去1年間に保険料の未納がないことです。未納や免除の期間がある場合は、年金事務所で納付歴を確認することが必要です。
    初診日が20歳前の場合は年金保険料を納付する義務がないため、保険料納付要件は不要です。
  • 障害認定日要件(障害の程度の要件
    障害の程度については、認定基準を抜粋します。
障害の程度障害の状態
1級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

請求方法

初診日から1年6か月(障害認定日)時点で、障害状態に該当している場合、認定日請求を行います。障害認定日に障害状態に該当しない場合であっても、その後症状が悪化し、障害状態に該当している場合は、事後重症請求を行います。

発達障害(ADHD)での受給事例

事後重症請求で、障害基礎年金2級が決定
傷病名:発達障害(ADHD)
年齢:30代 性別:女性
決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
請求方法:事後重症請求
支給額:年額79万5千円

相談時の状況

ホームページを見て相談に来られました。小学生の時から、算数がわからない、中・高校時代は、授業がわからずいつも寝ていた。周りとのコミュニケーションがうまくいかないなどから、自分は発達障害ではないかと疑い、大学時代、心療内科を受診したところ、発達障害(ADHD)と診断され、薬物療法を続けておられました。アルバイトでいくつかの仕事を試みられましたが、症状のため続かず、約2か月前正社員として就職したのですが、ストレスから体調が悪化し、休職中ということでした。収入が得られないため、障害年金を受給したいというご相談でした。

相談から請求までのサポート

大学時代に初診日のある心療内科に初診の証明を作成してもらいました。診断書もスムーズに作成してもらうことができました。
ご本人は、短時間でも働きたいと思っておられ、就労すると、障害年金をもらえなくなるのかどうか、大変気にしておられました。

障害年金は、働きながらでも受給できる?

精神障害、がんなどの病気は、眼や聴覚、肢体などの外部障害と異なり、数値で障害程度を示すことが難しく、働いている場合、重度の症状ではないと判断されてしまうことがあります。それでも、就労しているから必ずしも支給されないと決まっているわけではありません。
障害や病気のために、日常生活に支障をきたしているものの、周囲のサポートや職場の配慮があって働くことができているということ(例えば障害者枠で働くなど)を、客観的に、具体的に示すことができれば、受給できる可能性もあります。ということをお話させていただきました。
まずは、支給決定されることが優先されるますので、初診の証明、診断書の依頼と確認、病歴・就労状況等申立書の作成、一つ一つ、確実に行っていきました。

結果

申請から約2ヵ月後に、障害基礎2級の通知が届きました。

相談を悩んでいる方・ご家族の方へ

障害年金は、同じ傷病でも個々人、初診に至る経緯、初診から現在に至るまで、症状も異なってきます。精神疾患の場合、不調の原因がわからずに、様々な医療機関を受診し、初診日が分からないというケースが少なくありません。当事務所では相談者様としっかりと話し合い、ベストな請求方法を提案しています。障害年金の手続きは非常に複雑です。まずはお気軽にご相談下さい。