統合失調症の皆様、障害年金という制度をご存知ですか?
統合失調症の皆様、障害年金という制度をご存じですか?
「障害年金」は、原則20歳~64歳の方が対象で、病気や事故のため障害を負った方に対して、国が支給する年金制度です。65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある方に対して支給されます。
こちらの記事では受給のポイント・過去の受給例をご紹介します。
統合失調症は、障害年金の対象疾患です。
統合失調症とは、幻視、幻聴、妄想、自我障害、思考障害などの陽性症状と、感情鈍麻、自発性減退、社会的ひきこもりなどの陰性症状からなる諸症状を呈す精神疾患で、障害年金の対象です。
ここでは、統合失調症について、どんなときに障害年金が受給できるのか、請求(申請)する際はどのようなことに注意すればよいのか等を解説します。
統合失調症で障害年金を受給するポイント
- 初診日の要件
初診日に国民年金または厚生年金保険に加入していることが必要です。 - 保険料納付要件
原則、初診日の属する月の前々月までの過去1年間に保険料の未納がないことです。未納や免除の期間がある場合は、年金事務所で納付歴を確認することが必要です。
初診日が20歳前の場合は年金保険料を納付する義務がないため、保険料納付要件は不要です。 - 障害認定日要件(障害の程度の要件)
障害の程度については、認定基準を抜粋します。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの |
・統合失調症、統合失調症型障害の認定に当たっては、次の点を考慮のうえ慎重に行う。
統合失調症は、予後不良の場合もあり、国年令別表・厚年令別表第1に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い。しかし、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。したがって、統合失調症として認定を行うものに対 しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。
・日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
請求方法
初診日から1年6か月(障害認定日)時点で、障害状態に該当している場合、認定日請求を行います。障害認定日に障害状態に該当しない場合であっても、その後症状が悪化し、障害状態に該当している場合は、事後重症請求を行います。
統合失調症での受給事例
認定日請求で、障害基礎年金2級が決定
傷病名:統合失調症
年齢:30代 性別:女性
決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級
請求方法:事後重症請求
支給額:年額79万5千円
相談時の状況
ホームページを見てご両親が相談に来られました。就職して数か月経過後、不眠がひどく、そのうち幻聴が出始め、職場から両親に、コミュニケーションができない、一度心療内科を受診してみるようすすめられました。 統合失調症と診断され、薬が処方されるようになりました。しかし、本人には病気の自覚がなく、仕事が続けられず退職しても、求職活動をして就職し、2週間ほどで病状のため辞めるという繰り返しでした。幻覚や幻聴が酷い時もあり、夜中に騒ぎ出すようなこともありました。医師からも就労不能との診断で、ご両親は将来の事を考え、障害年金を申請したいということでした。
相談から請求までのサポート
ご本人は、細かいやりとりは無理ということで、ご両親にお話しをお伺いしながら進めました。
初診日も明らかで、主治医も障害年金の受給に前向きだったので、スムーズに進めることができました。診断書の記載には細かいルールがあります。出来上がった診断書を一つ一つ精査し、相談者にも確認していただきました。
結果
申請から約2ヵ月後に、障害基礎2級の通知が来ました。
相談を悩んでいる方・ご家族の方へ
障害年金は、同じ傷病でも個々人、初診に至る経緯、初診から現在に至るまで、症状も異なってきます。精神疾患の場合、不調の原因がわからずに、様々な医療機関を受診し、初診日が分からないというケースが少なくありません。当事務所では相談者様としっかりと話し合い、ベストな請求方法を提案しています。障害年金の手続きは非常に複雑です。まずはお気軽にご相談下さい。