全身性エリテマトーデス(SLE)の皆様、障害年金という制度をご存じですか?
「障害年金」は、原則20歳~64歳の方が対象で、病気や事故のため障害を負った方に対して、国が支給する年金制度です。65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある方に対して支給されます。
こちらの記事では受給のポイント・過去の申請例をご紹介します。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、障害年金の対象疾患です。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、全身にさまざまな症状が起こる自己免疫疾患で難病に指定されています。
本来、自分の身体を守るはずの免疫が誤作動によって自分を傷付けてしまい、さまざまな臓器で炎症が起こります。症状は一般的に発熱や倦怠感、手足の関節痛、皮膚症状などです。
経過とともに腎臓(ループス腎炎)、心臓、肺、消化器系の病変や精神症状なども出現する場合があります。
全身性エリテマトーデス(SLE)で障害年金を受給するポイント
- 初診日の要件
初診日に国民年金または厚生年金保険に加入していることが必要です。
※全身性エリテマトーデスは、初診日に確定診断がつかないことも多いです。そのため、例えば倦怠感や皮膚症状、手足の痛みなどの「全身性エリテマトーデスに関連する症状で初めて受診した日」が初診日となります。 - 保険料納付要件
原則、初診日の属する月の前々月までの過去1年間に保険料の未納がないことです。未納や免除の期間がある場合は、年金事務所で納付歴を確認することが必要です。
初診日が20歳前の場合は年金保険料を納付する義務がないため、保険料納付要件は不要です。 - 障害認定日要件(障害の程度の要件)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、症状によって診断書や認定基準が異なります
症状は人によって異なりますので、個別にご相談ください。
使用する診断書
- 内臓系疾患の場合 「その他の診断書や循環器疾患の診断書」
- 肢体機能 「肢体の診断書」
- 呼吸困難などの症状 「呼吸器の診断書」
請求方法
初診日から1年6か月(障害認定日)時点で、障害状態に該当している場合、認定日請求を行います。障害認定日に障害状態に該当しない場合であっても、その後症状が悪化し、障害状態に該当している場合は、事後重症請求を行います。
全身性エリテマトーデス(SLE)不支給となった事例
認定日請求と事後重症請求を同時申請、不支給決定
傷病名:全身性エリテマトーデス(SLE)
年齢:20代 性別:女性
請求方法:認定日請求と事後重症請求を同時請求
相談時の状況
ご本人は症状のため、仕事以外は外出も困難で、お母様が相談に来られました。相談時、ご本人は短時間ですが就労しており、厚生年金に加入されていました。仕事場は病状に配慮があり、体調が悪い時は休みやすい環境でしたが、倦怠感がひどく、関節痛もあり、紫外線に当たると症状が悪化するため、外出は制限され、日常生活に支障が出ており、障害年金の受給を考えるようになったとのことでした。
相談から請求までのサポート
初診日ごろは、厚生年金に加入しておらず、2級以上に認定されなければならないこと、一方、現在就労しているので、どの程度日常生活に支障がでているかを訴えていく点で難しいですが、という前置きで、出来る限りの事をさせていただくという方向性でサポートさせていただきました。
全身性エリテマトーデスの症状(倦怠感、発熱、蝶形紅斑などの皮膚症状)は、早い時期から出ていたようでしたが、本人が免疫系の病気とは思わなかったため、当初受診せず、また、症状が悪化し、受診してからも確定診断がすぐに出ませんでした。生体検査や薬による経過観察を経て、ようやく確定診断に至ったため、初診日を確定するのに時間がかかりました。
初診日は、国民年金加入期間に確定したため、2級以上の症状を訴えていくにあたり、仕事場での状況、通勤の方法、休みの日の状況、家事や身の回りの事をどの程度できるかなど、詳細にお聴きしました。
診断書には、ご相談者からお聴きした日常生活で困っていること、仕事場での様子などを情報提供し、ご相談者自身も主治医としっかりお話しをされました。
診断書の記載には細かいルールがあります。診断書が出来上がったら、一つ一つ精査し、相談者のご意見も聴きました。
結果
申請から約2か月後、審査に時間がかかっている旨の文書が届きました。
その後さらに2ヵ月後、2級の障害事由に該当しないとのことで、不支給の通知が届きました。大変残念でしたが、出来ることは全て行ったので、不服申し立ては行わず、病状が悪化してしまった場合は、再請求を検討するとのことでした。
相談を悩んでいる方・ご家族の方へ
障害年金は、同じ傷病でも個々人、初診に至る経緯、初診から現在に至るまで、また、症状も異なってきます。当事務所では相談者様としっかりと話し合い、ご相談者が納得されることを一番に、ベストな請求方法を提案しています。障害年金の手続きは非常に複雑です。まずはお気軽にご相談下さい。